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JINイノベーション便り

西口尚宏のイノベーション日記#3「国連でのパネルディスカッションを終えて」

5/24(水)に国連からの招聘を受け、ニューヨーク国連本部にて、SDGsを推進するための「国連経済社会理事会:開発資金会議フォローアップ会合」にパネリストとして参加してきました。これは、UNDPとJINが共同運営しているSHIP (SDGs Holistic Innovation Platform)の取り組みを説明するためです。パネルディスカッションの様子はこちらのUN Web TVをご覧ください。(英語のみ ※SHIPの説明は30:10-38:10)

国連加盟国193カ国、全ての国連機関、市民社会をはじめとする主要なステークホルダーを前にしてのパネルディスカッションで、議長はパキスタンのUN代表部のナビール氏、また、フランス、ジャマイカ、インド、世界銀行などがパネル参加しました。ディスカッションは、パネリストが一人7分の持ち時間で自説を述べ、会場からのコメントや質問を受け付けましたが、有意義な議論でした。

SDGsは「ローバル・ゴール」という名前で語られるように、世界各国の共通目標との意識が共有されていることを改めて確認できました。その中で、従来のODAアプローチだけではゴール達成は難しく、民間セクターがチャリティ活動ではなく、自社のビジネス活動としてSDGsの達成を牽引することが必要だというのが世界的なコンセンサスでした。一方、そのやり方がわからない、資金が集まらないということも共通の懸念事項でした。

私からSHIPの取り組みとしてとして伝えたことは次の5点です。
1)SDGsをイノベーションの機会として捉えることが重要であること。
2)17のゴールと169のターゲットを「投資・融資対象となるプロジェクト化:bankable project」に因数分解することが肝心であること。
3)民間企業にとってSDGsとキャッシュフローをつなぐビジネスモデルのデザインが鍵となること。
4)そのためには、イノベーションプロセスにおける試行錯誤を行うインキュベーションステージを成功裏に運営することが必須であり、1起業家精神、2イノベーション加速プロセス、3ビジネスモデル構築が鍵であること。
5)グローバルなイノベーションのエコシステム構築が必須であり、世界各国のスタートアップや大学、学生、NGO、政府機関、国際機関をつないだエコシステムづくりをSHIPで進めていること。

SHIPは、すでに70社を超える企業に様々な形でご参加頂いています。特に、自社のビジネスとSDGsの関連性を考えるディスカバリープログラム[導入編]や、特定テーマの深堀りを海外人材との共創で行うディスカバリープログラム[テーマ編]に現在は注力しております。SHIP自体がイノベーション・プロジェクトですので、試行錯誤を通した進化を続けておりますので、ぜひご参加をご検討ください。ご不明の点は、何なりとお問い合わせを頂ければと思います。

また、世界75都市の社会課題解決型のスタートアップのトーナメントであるチャレンジカップ(東京・大阪)をワシントンDCのインキュベーター1776との共同で7月に行います。教育、都市、エネルギーなどSDGsにも重なる社会課題解決型のスタートアップの75都市の優勝者が11月にニューヨークに大集合して最終決戦を行うというものです。詳細はこちら

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「西口尚宏のイノベーション日記」について;
「大企業からイノベーションは興らない」という定説を覆す活動に2009年に身を投じてから早や8年が経ちましたが、日々発見の連続です。おかげさまで、複数の加速支援先で具体的な成果が出始めたところですが、ご縁を頂きましたお一人おひとりに定期的に近況をお伝えする「西口尚宏のイノベーション日記」を2017年4月からお送りしています。JINは私が全力投球している活動ですので、どうしてもJINでのイノベーション活動の話題が中心になりますが、一般社団法人日本防災プラットフォームの代表理事としての活動もイノベーション視点で行っておりますので、国際防災の話題に触れることもあると思います。西口からの私信という形を取らせて頂きますので、気軽にご高覧賜れば幸いです。
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