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イノベーションを興すマネジメントシステムの構築が左右する イノベーション活動成果に対する社員の手応え感      ~日経ビジネス電子版登録会員1000人にイノベーションに関する意識調査を実施~

日本企業のイノベーションを加速支援する一般社団法人Japan Innovation Network(以下、JIN)は、2021年8月、日経ビジネス電子版登録会員1000人を対象にイノベーションに関するオンラインでの意識調査(以下、イノベーション1000人調査)を実施しました。その結果、所属する企業がイノベーションを興すマネジメントシステムを構築しているか否かで、イノベーション活動成果に対する社員の手応え感が大きく違うことが浮き彫りになりました。
調査の結果、自社のイノベーション活動の成果を感じている回答者は全体の31%(311人)、成果を感じていない回答者は63%(644人)でした(残る6%は「わからない」と回答)。JINでは、前者を「イノベーション活動成果の手応えある組」、後者を「イノベーション活動成果の手応えない組」と分類し、これらの回答者(計955人)のイノベーションに関する意識を分析しました。

■イノベーション成果手応えある組とない組で違う将来に対する危機感
今後10年程度の期間で勤務先の将来に関する危機感を聞いたところ、「産業構造の大幅な変化」に対する危機感が両者とも5割を超えて最も強いとがわかりましたが、「手応えある組」はその次に「優秀な人材の採用難・退職」「技術革新への乗り遅れ」「新規競争者の出現」への危機感が強く、「手応えない組」は「自社でイノベーションを興せないこと」「ビジネスモデルの陳腐化」「技術革新への乗り遅れ」への危機感が強いことがわかりました。
この違いは、イノベーション活動の成果が出始めた段階で感じる現実的な危機感と、成果が出ていない段階の漠然とした危機感の差であると考えられます。

 

■イノベーション・マネジメントシステム施策の実現度と成果手応えの関係【6つの分類】
回答者の勤務先における、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際規格「ISO56002」で定義された施策(以下、IMS施策)の実施状況を聞いて、その結果を上記のイノベーション成果の手応えとクロス集計し、IMS施策の実現度と成果の手応えの関係を下図の6つに分類しました。
最も多いのが、IMS施策が実現できておらず、イノベーション成果の手応えも感じていない「IMS夜明け前型」(44%)であり、最も少ないのが、IMS施策は実現できているが、イノベーション成果の手応えを感じられていない「IMS失速型」(2%)でした。

■イノベーション・マネジメントシステム施策を実現して成果を実感するための方策
日本の企業はIMS施策を実現し、その上で社員がイノベーション活動成果の手応えを感じることができる「IMS駆動型」に移行することが必要です。そのためには、今どの型にいようと、IMS駆動型に向けた旅を始める必要があります。その際、IMS駆動型の特徴である、以下の方策をとくに重視する必要があります。

「IMS駆動型」の特徴
1. 経営陣の本気度の見える化
2. イノベーション事業領域の明確化
3.「仮説に基づき試行錯誤を行うイノベーション活動プロセス」の確立と
様々な施策の組み合わせ

■「IMS駆動型」に向けた旅に潜む5つの罠
しかし、「IMS駆動型」に向けた旅には「経営者無理解の罠」「風土改革の罠」「目的不明の罠」「試行錯誤不全の罠」「旧型人事の罠」という5つの罠が存在します。これに陥らないように、経営者から若手までが危機感を共有しながら、「仮説に基づき試行錯誤を行うイノベーション活動プロセス」の構築を軸に、IMS施策全体を実行していくことが必要です。

「IMS駆動型」に向けた旅(矢印)とそこに潜む5つの罠

「仮説に基づき試行錯誤を行うイノベーション活動プロセス」
の構築を軸としたIMS施策(IMSコンパス)

全世界を同時に襲ったコロナ危機によって、今までの社会の前提条件が消え去ったなか、非連続なイノベーションが、今まさに必要とされています。JINは、日本がコロナ危機を乗り越え、全ての組織からイノベーションが興る「Innovation Nation」となることをめざして、これからも日本企業のイノベーションの加速支援を進めていきます。

「イノベーション1000人調査」概要
調査名:イノベーション活動に関する意識調査
調査時期:2021年8月
調査方法:オンライン
調査対象:日経ビジネス電子版登録会員
有効回答数:1017人