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【レポート】2023/05/26開催 JIN IMSAPプログラム概要発表会「それでどうする、イノベーション」 – 不確実な世界で広がるイノベーション経営とJINのIMSAP –

「すべての組織からイノベーションが興る国へ」を掲げて日本企業のイノベーション創出を加速支援する一般社団法人Japan Innovation Network(以下、JIN)は、5月26日 &BIZ conference 東京ミッドタウン八重洲にて、IMSAP(Innovation Management System Acceleration Program)のプログラム概要発表会を開催しました。

JINはこれまで、国際標準化機構(ISO)の専門委員会で、日本の国内審団体としてイノベーション・マネジメントシステム(IMS):ISO56000シリーズの規格開発に参画してきました。そこで得た世界最先端の知見に数多くの企業のイノベーション経営を支援してきたJIN独自のノウハウを加えた、同シリーズの中核規格であるISO56002に準拠したIMSAPのプログラム概要を発表しました。

【オープニング14:00-14:05】:小原 愛 (イノベーション加速支援グループ ディレクター)
発表会は、司会の小原の、今年で設立10年となるJINの沿革、強み、ミッションそしてイノベーション・マネジメントシステムについての説明から始まりました。

JINはイノベーションを“システマティック”に起こすことを強く推進してまいりました。そのためのプログラムがIMSAP(Innovation Management System Acceralation Program)です。JINでは、2019年にISO56002が採択されてよりIMSAPをスタートいたしましたが、この度の刷新の内容をご説明するのが今回の発表会の趣旨です。

【システマティックなイノベーションの時代14:05-14:15】:紺野 登(代表理事 

代表の紺野は今一度、イノベーションを「新しい価値を具現化すること」と定義し、「日本は技術はあるのになぜ勝てないのか」という大きな問いに対して、イノベーション・マネジメントの観点からの見解を示しました。

さらに日本企業において、アントレプレナーシップ、イノベーターシップを支える経営システムである“イノベーション経営”の必要性、そこにおけるイノベーション・マネジメントシステムの重要性について強調いたしました。

より本質的な背景として、イノベーション・マネジメントにおける考え方の転換、意味合いを、”卵”の黄身と白身を例に、リーン・スタートアップ活動を始めたスティーブ・ブランク「“イノベーション劇場”は、もうたくさん」という言葉なども交えながら解説いたしました。

日本においては、スタートアップ、大企業共に、イノベーション活動を支えるシステマティックなイノベーション・マネジメントシステムがほぼない状況です。今こそ、組織的・体系的なイノベーション活動、そして新たな知識集約型のマネジメントシステムとして、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)が必要です。

あるレポートによると、体系的なイノベーションの欠如は、特に大企業の市場適応力と収益性に悪影響を及ぼし、その持続可能性を危うくします。イノベーションを確立されたプロセスや企業文化に統合していかない限り、望むイノベーションの成果が得られません。そのため、トップ層の支持を得た総合的なアプローチが必要ですが、そこに大いに活用いただきたいのがIMSです。

本業の脇でイノベーション活動をする時代ではなく、むしろ本業自体を見直しつつ、経営システムを本格的に変えていく一つとしてイノベーション活動を捉え、そこからイノベーション経営を行う時代に入りました。このような時代の一つの可能性として、イノベーション・マネジメントシステムを手がかりにしながら変化を生み出すことができます。

ここで赤と緑のプラスチック板を使った「ムードメーカー」のワークを行ったところ、90%以上の方がIMSの重要性について理解されていました。

【ISO56000シリーズ大解剖14:15-14:25】:尾﨑 弘之(イノベーション加速支援グループ ディレクター
ここからは国際規格ISO56000シリーズの日本における国内審議委員会の事務局を務める尾﨑より、ISO56000シリーズの全体像を、その成り立ち、共通言語としての重要性、特にISO56000、ISO56002について詳細に解説し、さらに新しいIMSの原理原則についても説明しました。

尾崎はISO56002に基づいた「IMSコンパス」についてその構成要素、流れについて詳細な説明を続けました。

【ISO56000活用事例14:20-14:35】:尾﨑 弘之
ISO56002は認証規格ではなくガイダンス規格ですが、すでに欧米、UAE、タイなど数国でプライベート認証(認証団体が企業の認証をすること)が始まっています。

具体的に、IMSを導入・推進している企業・団体の3事例を、導入の目的、意図・価値、組織の状況、支援体制の観点から紹介いたしました。

3事例から見えてきたことは、IMS導入以前から様々なイノベーション活動を行ってきたものの求めている成果は出ず、組織全体としてのシステマティックなイノベーション活動になっていなかったという反省があり、そこから体系的なアプローチ(IMS)導入を選択し、゙意図や組織的な方向性(戦略)を示し、その後、具体的な支援体制や活動プロセスなどを継続的に整備していくと、徐々に成果が出せるということでした。

【イノベーションはこうする JIN IMSP14:35-14:55】:尾﨑 弘之
引き続き、尾﨑よりJINが提示するIMS実践への道筋としてのIMSAPプログラムについてお話しいたしました。

IMSAPは、最先端のイノベーションの知見及びイノベーション・マネジメントシステム(IMS)を通じた、日本の産業・企業の知識共創型組織への転換を促進するプログラムであり、認識・理解 → デザイン・構築 → 実践・成果というプロセスを通して加速支援するものです。

具体的にスタジオ、キャンプの目的・概要をご説明し、動画学習の一部を実際にご覧いただいたのち、IMSコンパスを使った自社のIMS成熟度チェックのワークをいたしました。

ここで、MACH49という米国における、ベンチャー立ち上げ、ベンチャー投資、ビジネスインキュベーション、イノベーション加速などの支援サービスを企業に提供する専門家集団の事例紹介をしました。MACH49は大企業においてスタートアップのスピード感でシステマティックにイノベーションを実現することが強みです。JINは彼らとも連携し、IMSAPに更なる価値を与えてまいります。

尾崎のパートは「IMSであなたの組織が持つ潜在能力を開放し、未来の経営システムへと進化させましょう! 」という言葉で締め括られました。

【キーメッセージ14:55-15:05】: 西 泰夫(専務理事)
「今、日本の経営者が決断すべきイノベーション・マネジメントシステムへの転換」

JIN専務理事である西口 泰夫からは、技術を活かし、組織を活かし、経営を探求してきた半世紀以上に渡る豊富な知見を背景に、IMSAPについてのキーメッセージをお伝えしました。

企業規模でイノベーション活動を行い、成果を出すために大切なのは、先の世界を見渡す視点、イノベーションによって生み出された新たな社会の絵を描き切る能力です。

それを実現する構想をできる限り明確化し、この構想を企業で総力を上げて企業活動を行うことで、最終的に実現化することができます。

これらの総合的活動をできる限り“正しく”行うために活用していただきたいのがイノベーション・マネジメントシステム、そしてIMSAPです。

「ISO56000シリーズを習得し、自社に適したIMSを構築しながら各部門でイノベーション活動を推進することがイノベーションである」という端的な言葉をもって西口はメッセージを締めました。

【インタラクティブセッション15:05-15:25】:松本 毅(常務理事)
再び小原からのIMSネットワークの形成の告知及びSHIPについての説明の後、常務理事の松本をファシリテーターとしてインタラクティブセッションを行いました。

お答えしきれないほどのご質問をいただき、皆様のIMS及びIMSAPへのご関心の高さを大変ありがたく受け止め、松本よりご回答させていただきました。

【交流会15:30-16:00】
ご参加者の皆様とJIN関係者、そしてご参加者様同士の和やかかつ活発な議論の起こる歓談の場となりました。

【IMSAP発表会を終えて】
ご参加いただいた皆様にお答えいただいたアンケートからも、イノベーション、そしてIMSへのご関心と実践への意欲を伺うことのできる大変貴重な機会となりました。

より多くの日本企業がイノベーション経営へと移行し、進化していくことを願いつつ、我々もイノベーション経営への支援体制を強化してまいります。