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【第37回オープン・イノベーション対話シリーズ レポート】

小島 健嗣氏(designMeME合同会社 代表
元富士フイルムOpen Innovation Hub館長)が語る

共創・共感による
オープンイノベーションの実践
相互作用を創発するバウンダリー・オブジェクト
オープンイノベーションの本質

概要:
37JINオープン・イノベーション対話シリーズでは、ファシリテーターであるJIN常務理事の松本 毅と、designMeME合同会社の小島 健嗣氏が、「共創・共感によるオープンイノベーションの実践」について対談いたしました。

スピーカー:
小島 健嗣氏
designMeME合同会社代表 元富士フイルムOpen Innovation Hub館長
イノベーションアーキテクト/デザイナー

小島 健嗣氏ご講演:
今回、小島氏からは、「共創・共感によるオープンイノベーションの実践」というテーマで、バウンダリー・オブジェクトをキーワードにお話をいただきました。

小島氏は富士フイルムにおいて、デザイナーとサイエンティストが関わることによって、新しいビジネスを起こしていきました。その方法は共通言語化(動詞化=機能価値)で、これは社会課題と技術をつなげる独自メソッドです。小島氏は「Open Innovation Way」の設定と実践を推進されています。
立ち上げた「Open Innovation Hub」は共通言語化(動詞化)によって、技術とお客様の課題解決を結びつけてきました。これは本日のテーマであるバウンダリー・オブジェクトに通じるものです。

共感が起こると知恵が集まり、具体的なことを行う駆動力にしていくということを、数々のプロジェクトで経験された小島氏は、富士フイルム退職後にdesignMeMEを立ち上げ、デザインの力を使って共感・共創を支援し、プロジェクトを成功に導く支援をされています。

ここで、共創・共感によるオープンイノベーションのご支援の具体例として、横浜国立大学 総合学術高等研究院での、ビジョンドリブン型の新しい研究組織の創出のお話をしていただきました。

小島氏からは、オープンイノベーション創出の3ポイントについてお話しいただきながら、IMSとの共通点も交えつつ、本日のキーワードである「バウンダリー・オブジェクト」についても解説いただきました。

共創のための仕組みにおいて重要なキーとなるのが「バウンダリー・オブジェクト」です。バウンダリー・オブジェクトとは、異なるコミュニティーやシステム間の境界(バウンダリー)に存在する物や言葉、シンボルなどを意味し、コミュニティ同士をつなぐもの、あるいは新たにコミュニティーを形成するものとして生み出されるものを言います。

新規事業の種の構想から事業承認までのプロセスにおいて、バウンダリー・オブジェクトは重要な機能を発揮します。社内・社外共に視覚化・携帯化された情報・知識(=バウンダリー・オブジェクト)を通して共感を醸成していくことで新規事業は成功へと導かれます。

小島氏は「場」の重要性について、構成する4つの“P” People,Process,Program,Place)”(人間、手間、時間、間)のそれぞれについても言及され、さらにWANTS起点、SEEDS起点「共通言語化(機能価値)手法を使って社会課題と技術をつなげる」、NEEDS起点についても、横浜国立大学の事例を交えてお話いただきました。

第37回対話シリーズを終えて:
小島氏の豊富な知見と明快な説明により、バウンダリー・オブジェクトへの理解が深まりました。デザイン思考についても改めて確認する機会となり、イノベーション、オープンイノベーションについて幅広くかつ深く再考することができました。

お知らせ:
次回の対談は、77日に出島 弘昭氏をゲストとしてお迎えします。出島氏は東北電力株式会社 事業創出部門 アドバイザーであり、大阪大学フォーサイト株式会社 取締役、そして VP of Business Development/IZM代表でもいらっしゃいます。話題提供は『シリコンバレーの脱炭素イノベーションと日本の現在地』、対話テーマは「脱酸素分野の『機会の特定』」ということで、次回も、非常に興味深い新規事業の話を聞くことができる機会です。ぜひご参加ください。

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