Newsニュース

IMSAP Global Studio 2025 フランス 現地訪問レポート

イノベーション・マネジメント最前線への旅

— フランスのイノベーションとエコシステムを巡った6日間 —

2025年6月22日から27日にかけて、Japan Innovation Network(JIN)は「IMSAP Global Studio 2025 フランス」の現地訪問プログラムを実施し、フランスを6日間訪問しました。

IMSAP Global Studioは昨年より開催しており(昨年はスウェーデンを訪問)、「ISO 56001:イノベーション・マネジメントシステム(IMS)」で重視されている「意図」「戦略」「組織文化」「イノベーション活動」などの要素や原則を、実体験として理解するためのプログラムです。

本年は、フランスのイノベーションをけん引している企業・団体など11カ所(企業9社、団体1つ、大学1校)を訪問し、それぞれのIMSやイノベーションの取り組みについて、貴重な学びと深い洞察を得ることができました。

現地訪問先での主なトピックと学び

Day1

プログラム初日は、フランスを代表するITソリューション企業であるダッソー・システムズの共同創業者による、示唆に富んだイノベーションのストーリーからスタートしました。世界的企業を築くまでの歩みが語られ、参加者一同、深い感銘を受けました。

とくに印象的だったのは、「イノベーションの成功にはビジョン、戦略、そして実行システム(オペレーションプロセス)という3つの柱が不可欠」というメッセージです。また、「効果的なイノベーションを実現するためには、適切なエコシステムの構築が不可欠であり、強固なイノベーション・エコシステムこそが成功の鍵である」という考えに、参加者は強く共感していました。

Day2

2日目はパリ近郊のピエールフォンという町を訪れ、フランスを代表する大手企業のイノベーション責任者(CIO)が集うParis Club of CIOのメンバーとともに、イノベーションの戦略・文化・活動についてディスカッションを行いました。

日本からは沖電気工業、JSR、オリンパス、日建設計コンストラクション・マネジメントが、フランスからはSaint-Gobain(サンゴバン)、Alstom(アルストム)、Hemovis(エモヴィス)、Group Onepointの各社が、それぞれのイノベーションの取り組みを紹介し、参加者にとって大きな学びの場となりました。

丸1日かけたこの日のプログラムからは日本とフランスの企業では文化や背景には違いがあるものの、多くの共通する課題が存在するという気づきが得られ、イノベーションに関する洞察を深める貴重な機会となりました。さらに、終了後に訪れたシャンティイ城では、美しい環境の中でこそ、創造性とイノベーションが生き生きと息づくことを実感し、インスピレーションを受ける時間となりました。

Day3

この日は、Rail Open LabTechnip Energiesを訪問し、両社のイノベーションマネジメントのアプローチや実践的な取り組みについて貴重な知見を得ました。

SNCF Réseau(フランス国鉄インフラ部門)が運営するRail Open Labでは、オープンイノベーション活動と、それを支えるエコシステムについて詳細な説明がありました。イノベーション戦略や組織文化、リーダーシップ、そして具体的な成果に至るまで、高い完成度の取り組みに、参加者からは評価の声が上がりました。

エネルギー業界に特化したエンジニアリング企業であるTechnip Energiesでも、同社のイノベーション活動やエコシステムについて学びました。Technip Energiesのイノベーションとそのマネジメントは、非常に体系的かつ組織的に整備されており、参加者の注目を集めました。

Day4

この日はダッソー・システムズを訪問し、同じ会場でエアバスとのミーティングの機会も得ることができました。

ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE Labでは、同社のイノベーションマネジメントと具体的な取り組みに関する非常に洞察に満ちたプレゼンテーションが行われました。とくに参加者の印象に残ったのは、高度なソフトウェアとともに展開された実践的なイノベーション活動であり、イノベーションに対する体系的かつシステミックなアプローチの精度と完成度を強く感じさせる内容でした。

3Dによるデモンストレーションも非常に魅力的で、強いインパクトを得る体験となりました。

Airbus Central Innovationの代表者は、同社の革新的な取り組みについて貴重なインサイトを共有してくれました。とくに印象的だったのは、ビジネスモデルとテクノロジーを戦略的に連動させる「ポートフォリオ・アプローチ」の重要性に関するプレゼンテーションです。これは、将来のビジネスモデルをいかに構想するかが、イノベーションにおいて極めて重要であることを示す内容でした。

Day5

5日目は、デジタルサイエンス分野の大学院・研究機関であるEURECOMを訪問し、最先端の研究や産業界との連携について多くの知見を得ました。この訪問を通じて、産官学が連携した強固なイノベーション・エコシステムの存在が、持続的なイノベーションの成功にとって不可欠であることが改めて浮き彫りとなりました。

Nuvisanでは、医薬品分野におけるCRO(開発業務受託機関)としての総合的な機能や、先端技術への積極的な投資、戦略的パートナーシップについて学びました。また、ディスカッションでは、特定分野における”ニッチな強み”を持つことが、組織全体に大きな力もたらすことについて深く掘り下げて議論しました。

この日はシュナイダーエレクトリックも訪問し、同社のIMSに関するプレゼンテーションに続き、非常に有意義な議論が交わされました。

参加者は以下のような多くの洞察と気づきを得ました:

  • ISO 56001およびISO 56002は、企業のIMSの現状を評価するためのベンチマークとして有効であり、イノベーション活動やグローバルな連携を進めるうえで共通の言語・理解・枠組みを提供するという点で非常に優れている。

  • 成功するイノベーションには多くの重要な要素が必要であり、それには「明確な(戦略的な)イノベーション・ビジョン」「明快な戦略」「強力なリーダーシップ」「堅固なプロセス」「動的なポートフォリオ・アプローチ」「積極的なイノベーション活動」などが含まれる。

Day6

IMSAP Global Sudio 2025は、素晴らしいフィナーレを迎えて幕を閉じました。

最終日は、旅行・観光業界向けITプラットフォームの世界的リーダーであるAmadeusによる温かい歓迎のもと、同社のIMSに関する深い洞察が得られました。

Amadeusは、非常に体系的に整理されたイノベーション・ポートフォリオと活動内容で参加者を魅了しました。将来のニーズや顧客が解決したい課題や悩みを先読みする洞察力に加え、航空券予約のグローバル流通システム、航空会社向けの旅客サービスシステム、ホテル向けのプロパティ・マネジメントシステムなど、多岐にわたる機能を統合した包括的なテクノロジー・ポートフォリオは、同社の強力なイノベーション戦略を象徴するものでした。

このような統合型プラットフォームこそが、異なる業種・業界間での深い連携を可能にする、強固なイノベーションの土台となっていることが明確に示されました。

ACRI-STへの訪問では、画像処理、コンピューターグラフィックス、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)、そして視覚データにおけるAI活用など、最先端の研究開発について学ぶことができました。とくに印象的だったのは、産学連携の強力なモデルであり、研究成果を実社会に応用するための実践的なアプローチが印象的でした。

プログラム最後の訪問先は、老舗香水ブランドであるフラゴナールでした。同社のディレクターは、その200年にわたる歴史と伝統を情熱的かつ巧みに語り、参加者を魅了しました。長い歴史を大切に守りながらも、常に革新を続けてきた姿勢には、参加者一同、深い感銘を受けました。また、この貴重な遺産を受け継ぐ次の経営者とも対面する機会に恵まれ、まさに伝統とイノベーションが融合する瞬間を体感することができました。

IMSAP Global Studio 2025の現地訪問は、フランスのイノベーションの最前線を深く体感する、非常に有意義で示唆に富んだ旅となりました。この6日間を通じて、日本とフランスのイノベーションに対するアプローチには多くの共通点があることが明らかになり、参加者にとって貴重な学びと気づきの連続でした。

今回得られた知見と、IMSAP(Innovation Management System Acceleration Program)の活動を通じて、JINは今後も、日本とフランスの企業・組織、さらには世界のイノベーション・エコシステムとの連携強化を目指していきます。