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【レポート】2023/8/30開催【BSI×日建設計×JIN 特別セミナー】建築・建設業界向けイノベーションマネジメントシステム(IMS)セミナー

一般社団法人Japan Innovation Network(以下、JIN)は、BSIグループジャパン様、日建設計様と共に、「建築・建設業界向けイノベーションマネジメントシステム(IMS)セミナー -システマティックなイノベーション時代におけるBIM活用-」を2023830 PYNT(ピント)にて開催致しました。

建築・建設業界もまた、あらゆる業界と同様に、時代の中において変革を余儀なくされる中で、持続的にイノベーションを起こし続けることが必須の課題となっています。そのために求められるのが、体系的なイノベーション活動の仕組みであるイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の導入です。

既に、ヨーロッパの建設業界では、成長を通じた社会貢献を目指してIMSを導入する企業が出始めています。これらの企業の一部は、同時にBIMBuilding Information Modeling*認証を取得し、情報資産環境の構築に着手しています。このBIMの価値を組織のイノベーション活動に最大限に活かすために大切なのが、IMSの導入です。

本セミナーでは、建設業界におけるBIM活用とイノベーションの関係性、IMSの最新動向を知り、IMSの理解を深めていただくことを目的とし、IMS導入やBIM活用に関する先進的な組織・企業の取り組みに関する講演の後、パネルディスカッションを行いました。

*BIMBuilding Information Modeling):デジタルモデリングを使用して、初期設計から建設、保守、最終的に廃棄に至るまで、建設資産のライフサイクル全体にわたる情報管理の仕組みです。3次元モデルを含む共通データ環境において、エンジニアや所有者、建築家、請負業者間とのコラボレーションを可能にし、効率的な情報共有ができます。(BSI様による説明を引用させていただいております)

Agenda
オープニング
基調講演「システマティックなイノベーションの時代」
特別講演1「なぜ建設業界にIMSが必要か(BIMとの親和性)」
特別講演2「設計事務所におけるイノベーションへのチャレンジ」
IMS事例紹介「Mott MacDonald+ 解説
パネルディスカション(日建設計、BSIJIN+Q&A
クロージング
懇親会

 

【オープニング】BSI グループジャパン株式会社 宮路 晃弘氏
建設業界のみならず、どの組織においてもカーボンニュートラルの達成やウェルビーイングの実現など、劇的な変化への対応がられています。これらの目標を達成するためには、組織としてイノベーションを継続的・体系的に起こしていく必要があります。建設業界においては、安全性や生産性の向上に寄与し、建築資産のライフサイクル管理を可能とするツールとしてBIMがあります。BIMは情報管理を通してデータを有効に活用する点で非常に優れたツールですが、BIMを単なる管理だけではなく、その価値をイノベーション活動に最大限に生かすことで、カーボンニュートラル達成やウエルビーイング実現ができると考えています。本日のセミナーでは、イノベーションマネジメントシステム、最新動向、建設業におけるBIM活用とイノベーションの関係性を理解いただくことを目的としています。

 

【基調講演】システマティックなイノベーションの時代 JIN代表理事 紺野登
イノベーションは、大企業には無理、たまに起きること、R&D(技術革新)のこと、出島でしかできないもの、イコール新規事業、といった誤解があります。イノベーションとは「新たな価値の実現」のための幅広い活動であり、製品イノベーション、プロセスイノベーション、ビジネスモデルイノベーションといったさまざまなタイプ、漸進的イノベーション、劇的イノベーション、破壊的イノベーションなど多様なイノベーションのパターンがあります。

劇的に環境が変化する現代において、市場や社会で企業が持続していくためには、規模に関わらず継続的なイノベーションが必要不可欠です。紺野が行なったアンケート調査では、建設業はイノベーションの取り組みは相対的に低く、かつ危機感も相対的に低いという結果でした。建設業は破壊的イノベーションのリスクが高く、本格的にイノベーションに取り組む必要性が高い業界であることを意味しています。

建築業界全体を変えていくようなインパクトを持つデジタル技術として、AIDXBIMなどがあります。ポール・ルイ・イスケ教授は『失敗の殿堂:経営における「輝かしい失敗」の研究』の中で次の方程式を紹介しています。

NTOOEOO

新技術(NT: New Technology)を古い組織(OO: Old Organization)に導入すれば高コストの古い組織(EOO: Expensive Old Organization)になってしまう。つまり、経営システムから考えておかなければ、新しい技術を断片的に導入しても単に高コストの古い組織になってしまいます。イノベーションを起こすためには、変革への抵抗を打破し、上層部の支持を得た総合的なアプローチが必要となるのです。

 

イノベーションマネジメントシステム(IMS
イノベーションは、知識創造・試行錯誤の不安定な実践であり、例えると卵の黄身のような、非常に壊れやすい脆弱な活動です。安定を求める既存組織であれば、イノベーションはほぼ必ず反対されたり、抵抗にあいます。これは当然です。そこで、卵の白身にあたる、組織とその成員がイノベーションを効果的・効率的に行い、価値を実現するためのイノベーション・マネジメント活動、そのイノベーション・マネジメント活動を持続的に行うためのイノベーション・マネジメントシステム(IMS)が不可欠です。イノベーションが確立されたプロセスや企業文化に統合されていない限り、その場しのぎの努力では状況を変えることはできません。

世界では「システマティックなイノベーション」への試みが広がっており、2019年にIMSの国際ガイダンス規格としてISO56002が発行されました。IMSは「システム」であるため、ISO56002の項目をチェックリストのように眺めても全体は見えません。自社の状況に適合した「システム」を体系化・構築(デザイン)していくために、共通言語、共通尺度として活用するものです。また、IMSは試行錯誤・イノベーションマネジメントを学習するプラットフォームとしての役割があり、組織としてイノベーションを積み上げていくことがIMSの一つの意義でもあります。さらに、IMSをパートナー企業とのオープンイノベーション、ユーザーや他の研究機関や公共部門を含めたより大きなエコシステムの形成(オープンイノベーション2.0)、スタートアップとの協業における共通言語・媒介とすることで、業界全体の革新を狙っていくことができるでしょう。

セミナーの参加者にISO56002を知ていたかを質問したところ、知っていた方は1/3程度でした。ISO560022019年に導入され、これから普及が進んでいく段階です。業界全体を変えるテクノロジーであるBIMを具現化するためには企業側が新しいシステムを持っていなければいけないという考え方で、BIM X IMSで考えていただきたいと基調講演を締め括りました。

 

【特別講演①】なぜ建築業界にIMSが必要か(BIMとの親和性)
BSI グループジャパン株式会社 代表取締役社長 漆原 将樹氏

BSIはロンドンにあるタワーブリッジ のデザイナーであるJohn Wolfe-Barry 卿により招集された、1901年の工業規格委員会 の最初の会合から始まりました。BSIは世界最古の国家規格協会であり、 ISO(国際標準化機構)の創立メンバーです。過去100年間、BSIは組織のパフォーマン スを向上させるような重要な規格を策定しており、BSIが策定したBS5750ISO9001の原案となっています。BSIは世の中に必要なものを規格化し、世の中に広めていくことを使命としています。

建設業界の就業者は、他産業と比べて55歳以上の割合が高く29歳以下の割合が低くより高齢化が進んでいます。そのため、適切な人材を集め、育成することとともに、高い生産性や品質、安全性、そして持続可能な成果を促進するデジタルイノベーションが求められています。建設業界におけるデジタルイノベーションの代表例は、建築情報モデリング(Building Information ModellinBIM)です。BIMはビジネスの効率性を高め、コストと無駄を削減するための新しい情報活用法として現在も急速な拡大を見せており、BIMを通じた効率向上 とコラボレーションは、新たなアイディアやアプローチを生み出すための土壌を提供し、業界全体の進化と成長を支えています。

 建設業界の革新的な10年をスケールアップするためには、イノベーションを育む組織文化に目を向けること、BIMを導入し上手く活用するための体系化されたイノベーション活動を行うことがカギになります。BIMに重要な4つの要素は、PeopleProcessPlatformPartnershipであり、Partnershipにおけるコラボレーションを加速していく上でBIMIMSは非常にマッチしています。

 

【特別講演②】設計事務所におけるイノベーションへのチャレンジ~失敗を資産に変える「チャレンジ」を推し進めるには・・・IMSへの期待
株式会社日建設計 執行役員 企画開発部門 新領域開拓グループ プリンシパル イノベーションデザインセンター・コモンズグループユニットMG 石川 貴之氏

日建グループは、専門性の特化と地域に根差したサービス展開のため、グルー会社を設立(分社化)し、サービスの高度化と 事業領域の拡大をしています。日建グルーブの力を結集し、「ワンストップサービス」を行うのが創業当時からの変わらない姿勢です。ワンストップサービスをAll Nikkenと呼び、何でも日建グループでやろうという精神がありますが、世の中のニーズと乖離してくることがオープンイノベーションに拍車をかけなければならない理由です。ブランドビジョンとして掲げている「社会環境デザインの先端を拓く」は、(クライアントの要請)x 社会の変化に先んじて行動  x 自由な発想と技術の掛け合わせであり、それはオープンイノベーションそのものです。日建グループはALL-NIKKENからオープンプラットフォーム型経営を目指していきたいと考えています。

そこで、日建グループ内のイノベーション活動への取り組みとしては、2021年にイノベーションデザインセンターを設立し、入り口側施策としてイノベーションの機運醸成と意識改革を行い、出口側施策として新規ビジネスの開拓・領域拡大を行っています。その間に場を設定し、伝える、高める、知り合う、つなぐ、売り込む、企てるという象限に分けて、新しいビジネスの柱を支えるためのハブになる運営を行っています。また、20237月には「コモンズグループ」を設立し、これまでの「行動提案」から「行動変容」へ変わるべく、日建設計が培ってきたナレッジやノウハウを生かし、 社会やクライアントが目指す姿を実現するため、ユーザーの「行動変容」を促す仕組みを取り入れ、建物や空間、さらには制度やプロセスなど、多様な提案へのチャレンジを始めました。

 外との繋がりの活動として、PYNTという施設を20234月にオープンしました。PYNT協働して「課題」に向き合い、 「問い」を立て、「仮説」を組み上げ、 試行錯誤の「共創」で、「解決策」を導きだし、 未来社会に「実装」する共創の場です。PYNTでは課題を共有し、プロジェクト化し、「都市の課題を解決し、未来に実装する」をVisionとしています。NIKKEIの枠に囚われず、オープンに活動を展開し、境界(業界)を越えた共創により領域を拡張し、社会課題を解決していきます。

IMSへの期待
イノベーションの失敗を資産に変える「チャレンジ」を企業経営の推進に向けてどう組み立てるかという点でIMSへの期待があります。現在の課題である、適切な中長期視点でのKPIマネジメント、アジャイルなアクションマネジメント、個人のパーパスとの接点の仕組みのマネジメントの解決において、共創のミッション化、(利他的)関係性の拡張、課題意識の共有においてIMSを活用の可能性を期待しています。IMSという物差しを用いることで、現在行っている活動の振り返り、後押しが出来るようになると考えています。

 

IMS事例紹介】「Mott MacDonald
インタビュー:Mott MacDonald  Strategic Advisory Director and Head of Innovation Mr. Jon Rains
解説:JIN理事 真野

イギリスの建設会社であるMott MacDonaldは、BIM認証取得後にIMSに取り組んでいる企業です。本セッションでは、建設業界におけるIMS導入企業事例として、Mott MacDonaldにてイノベーション戦略の責任者としてIMSの支援活動を世界中に提供し、またイノベーションマネジメントのアドバイザリー・ビジネスをリードされているRains氏にJINが事前に行ったイタビュー動画を視聴後、真野より補足説明を行いました。

Jon Rains氏へのインタビュー
BIM導入理由: Mott MacDonaldでは、クライアントおよび世界中の人々に対して素晴らしい社会的成果をもたらすという目的(パーパス)を大切にしており、サーキュラーエコノミー(循環型経済)でその目的を達成しようとしています。サーキュラーエコノミーでは、システム思考とデザイン思考の双方を組み合わせて、課題解決に向けた対応策をライフサイクルに組み込んで考える必要があります。そのためには、モデルやデータによる情報を図表を用いて視覚化し、人間と機械、私たち自身とコンピューターの繋がりが非常に重要です。BIMはグラフィックとして情報を管理し、建物周辺の新しい資産を設計、設置、運用するために必要な情報を見るために欠かせないものです。BIM導入により、新しいインフラを設計する上で効率的で効果的な方法を提供できます。Mott MacDonaldでは長年にわたってBIMを活用しており、現在は世界中のすべてのプロジェクトでBIMを使用することを義務付けています。BIMという共通基準を持つことは非常に重要です。

BIMに加え、IMSを導入した理由: BIMは新しいツールであるため、社内、他社やクライアントとの共同事業においても影響を与えるため、会社全体をシステムとして運営する必要がありました。ノベーションについて専門的に考え、新しいアイデアを取り入れ、それを私たちの顧客や社会への価値を提供するという体系的なアプローチをとるためにIMSを導入しました。IMSBIMは相性がよく、BIMのような新しいツールの導入には、IMSのような経営システムが本当に不可欠です。

IMS導入ステップ:IMS導入はすぐにできるものではありません。現在、活動を始めて5年目になりますが、IMSが軌道に乗るまでには23年を要しました。IMS導入にあたっては、かなり綿密な計画をたて、多くの人々を巻き込みました。一つ目は、社内にある既存システムを活用しながら、体系的な方法で、方針、手順、戦略、ワークフローを備えたビジネスの一部として新しいマネジメントシステムを導入しました。これは「走行中の車をどのように変えるか」のように考えました。二つ目は、運用方法を慎重に検討した。大企業であるため、最初にグループ全体としての包括的な戦略策定し、その後各事業部がそれぞれの文脈に合わせて主要戦略を採用するように促した結果、大きな成功を収めることができました。また、IMS導入のメリットを伝えるために、多くのコミュニケーションを心掛け、良い事例を紹介しながら少しずつ支持を得ていきました。今日では、非常に明確な方針、一つのグループ戦略、グループ戦略、会社全体であらゆる種類のイノベーションの取り組みを行っています。三つ目は、用語の定義にはかなりの時間をかけて議論をしました。例えば、「プロジェクト」と「イニシアティブ」は明確に区別しています。「プロジェクト」は終わりと始まりがあり、スコープが明確に定義されているのに対し、イノベーションは、明確に始まりと終わりがなく不確実性が高いため「イノベーション・イニシアティブ」という言葉を使っています。

IMS導入で意識したこと:同僚はもちろん、サプライチェーンや顧客にも協力をしてもらいました。同僚に対するコミュニケーションは非常に重要で、同僚を巻き込むために具体的なエンゲージメントプランを立てた上でイノベーション戦略を策定しました。「Our strategy」という考えを伝えながら、社員参加型のアプローチで一緒に作り上げました。実際にやるやり遂げるためには、説得するための粘り強さやレジリエンスが必要でしたが、どんなことにも抵抗はつきものです。最初から100%を目指す必要はなく、なぜ抵抗があるのか理解し、出来るところから始めれば良いのです。成功例が増えることで活動に参加したいと言ってくれる人やアイデアも徐々に増えました。強制的な方法ではなく、個人にも価値があることを示し、仕組みを整え、その仕組みが良いものであることを理解してもらえば、自然と人は集まります。

IMS導入を考えている日本企業へのメッセージ:BIM導入の前にIMS導入にもっと取り組んでおけばよかったと思っています。なぜなら、IMSは社内の多くのポジティブな変化を可能にするものだからです。BIMも重要ですが、主要な要素の一つに過ぎません。Mott MacDonald ではBIM導入時にIMSを実装していなかったため、BIM導入の際に必要なチェンジマネジメントに多くの困難や障壁がありました。私のアドバイスは、BIM導入に関心がある場合は、IMSを導入し、今後数年で導入されるISO56002の要求規格を確実に用することです。IMSを専門的に行うことで新しいシステムやツールを組織的に導入しやすくなります。

 

真野による補足説明
Rains氏はインタビューの中で、最初にサーキュラーエコノミー(循環型社会)の実現のためにBIMを活用したDXを推進すると同時にIMSを導入したと説明されていました。IMS導入は「走行中の車のタイヤを変える」くらい難しいこと、IMS導入にはOwnershipが重要であるため参加型アプローチを取ったこと、用語の定義を理解することの重要性についても語っていました。

地球規模の環境問題に歯止めをかけるためには、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提としたリニアエコノミーから循環型のサーキュラーエコノミーへと社会を変えていく必要があります。Mott MacDonaldでは、循環型エコノミーを実現するというビジョンを掲げ、それを実行するための戦略を策定しています。そのビジョンが従業員にやる気を与え、同じ志を持つパートナーとの連携を可能にしています。

BIMは建設業界におけるDXであり、デジタル化は企業単体の生産性、優位性を高めるだけではなく、業界全体、さらには社会・経済・産業構造そのものを変化させる可能性を持っています。業界別エコシステムからデジタルエコシステムへ変わっていく中で、そのエコシステムに参加していけるかどうか。DXを導入するためには、会社、事業、業務プロセス、組織・制度、文化・風土を変革していかなければなりません。Rains氏はインタビューで「走行中の車のタイヤを交換する」と表現していたように、DXでイノベーションを実現するのは容易ではありません。企業の価値観そのものを見直し、社会の変化に対応して知の探索を行っていかなければなりません。そのためには、知の深化と知の探求の違いを理解し、知の深化+探索が可能なOSへとマネジメントシステムを変えていく必要があります。BIMIMS導入は企業単体の話ではなく、大学・スタートアップ、行政機関、イノベーション経営を実践する企業などで構成されるイノベーションエコシシテムに入っていくには、BIMIMSを理解し、OSとして持たなければなりません。

IMS導入のポイントは、当事者意識を持たせOUR IMSにすることです。 IMS導入の企画段階からスタッフを巻き込み、包括的な戦略と事業部毎のイノベーションプランを策定し 、イニシアティブを見える化し、成功事例を共有し、強制力のないアプローチで進めていくことです。 社会の変化、技術の変化に合わせて新たなゴールを設定し、マネジメントシステムも改革し、組織もイノベーションを可能なOSにしなければなりません。JINIMSの普及・浸透を目指して活動をしています。

 

【パネルディスカッション】
モデレーター:小原 JIN
パネリスト:石川 貴之(日建設計)・漆原 将樹(BSI)・紺野 登(JIN)・
      真野
 毅(JIN

パネルディスカッションでは、BIMとイノベーション、IMSをスタンダードとして活用することによる可能性が議論されました。BIMを設計図のためのツールではなく、社会資本のライフサイクルマネジメント、より広いエコシステム構築のためのツールとして位置付けることでイノーベーションとの繋がりが生まれることから、BIMをデジタル投資だけでなく戦略投資になるようにIMSという視点で取り組む必要性等が語られました。参加者からは日本のBIMが欧米に遅れている現状やBIM導入における日本の商習慣の課題が共有されました。

【クロージング】JIN代表理事 紺野 登
BIMはツールであり、ツール自身は目的を持っていません。目的を与えるのはイノベーションです。社会のデジタル化が進む中、構想力がなければ、BIMは日本の習慣の中に埋もれてしまい、建設業界はイノベーションの機会を逃してしまいます。また、シンガポールなどでは建築申請にBIMを必須としており、このままでは日本は国際競争力をも失いかねません。本日のような議論を重ねることで、日本のために力を結集してイノベーションを起こすことを一緒に考えていただきたい。