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野中郁次郎先生を偲んで
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知識創造理論で世界的に知られる一橋大学名誉教授野中郁次郎先生が1月25日にお亡くなりになりました。
野中先生は、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN ジェイアイエヌ)発足当時からの理事として、イノベーション経営に関する様々なアドバイスを、また弊法人の活動に参加されるなど、多大な貢献をいただきました。
ここに深い追悼の念を記したいと思います。
野中理論とイノベーション経営
まずイノベーションは人間が意志や目的を持って起こすもの。そしてその実現の過程は知識創造プロセス(SECIモデル)であり、「場」が鍵となる。SECIモデルとは暗黙知と形式知の絶えざる相互変換、組織的知識創造のスパイラルアップである。
こういった野中理論は、言うまでもなく世界の経営に大きな影響を与えてきました。
知識創造のモデルは、デザイン思考や(最近ではエフェクチュエーション)、リーンスタートアップなどの手法にも通底する実践的理論としても重要です。それはJINが普及に努めるイノベーション・マネジメントシステム(IMS)においても同様です。高邁な意図に基づいて、試行錯誤的な活動を通じて新たな価値を実現するという考え方は国際規格ISO56002-56001においても共通した中核的な考え方になっています。まさに「標準の標準」だと思います。
経営者に檄を飛ばす
2024年8月6日に神田明神・令和の間で開催された経営者イノベーションラウンドテーブルでは、集まった日本の産官学のトップに向けて、激励のビデオメッセージをいただきました。「イノベーションは、未来に向けて新たな意味と価値を集合的に創造するプロセスである」「科学技術によってではなく、人間によってもたらされるものだ」そして「異なる背景や視点を持つ人々が対話し、時には葛藤を通じて生み出される”集合知”こそが、真のイノベーションを引き起こす」と説かれました。(協力:日経クロスメディア、翔泳社BizZine)
世界への発信
JINは世界の中の日本のイノベーション経営を見据えてきました。野中先生との協業を通じて、IMSN(Innovation Management System Network)などの世界のイノベーションのネットワークが形成されてきました。
野中先生は、日本では「失敗の本質」でより知られていますが、世界ではむしろ知識創造理論や場の理論が知られているようです。
今後さらに、野中先生が遺された知の資産は、未来に向けて展開していくことを確信しています。
野中先生、本当にありがとうございました。
一般社団法人Japan Innovation Network 一同