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JINイノベーション便り

[2021/8/30号] 中国のイノベーション・マネジメントと知財マネジメントの動向を把握する!

2020年11月に発行されたISO56005(イノベーション・マネジメントシステムにおける知財マネジメント、以下IPMと略します)は中国とノルウエーが共同提案国として5年の交渉を経て発行されたものですが、その背景をお伝えしたいと思います。

2021年5月に北京で開催された「イノベーション・マネジメントと知的財産に関する国際フォーラム」にISOコミュニティの一員として参加し、中国が国家としてイノベーション・マネジメントシステムや知財マネジメントをどう捉えているか改めて理解できました。
以下は当日の中国側の発表内容を簡潔にまとめたものです。

1. 中国はイノベーションを国家の成長・発展戦略の中核に据えている。
2020年に発表され、習近平国家主席によって承認された中国共産党の第14次5ヵ年計画では、イノベーションが発展と成長の重要な原動力であると考えられており、イノベーションをあらゆる主要な経済政策の中核に据えています。その目標は、中国が2035年までに世界のイノベーションリーダーとなり、イノベーション主導の経済を実現することとされています。

2. 中国のイノベーション戦略は過去30年間、知的財産を中心としたものだった。
中国が1990年代にイノベーションに注力し始めて以降、政策立案者及び民間企業は、共に知的財産の生成に強い関心を寄せてきました。その成果は著しく、2018年以降は特許登録数が世界第1位となり、2005年には早くも特許登録国のトップ10入りを果たしています。標準化に関しては、中国では知的財産管理に関する基準がイノベーション・マネジメントよりも先行して着手されてきました。

思い返せば、私が参加してきたISO56002の原案策定会議の中国側の出席者はいつも知的財産マネジメント関係者の人たちでしたし、中国の知財面の成長と成功は決して偶然ではなく、明確な国家戦略に基づいていることが良くわかります。

3. 中国政府は、イノベーションの成果を上げるためIMSとIPM両規格の採用を推進する。

イノベーション・マネジメントと知的財産の標準化の推進は、中国政府の最優先事項として積極的に進められています。ISO56002は、中国標準化研究所によってIDT(Identical Standard)国家標準として採用されており、ISO56002とISO56005を両軸としてイノベーション政策を推進していくと明確に宣言されています。

ISO56005は今秋には対訳版が日本規格協会から発行される見込みですので、中国の視点を理解する上でもぜひお手にとって頂ければと思います。

4. SDGsビジネス活動を推進したい方へ
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