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JINイノベーション便り

[2021/12/27号] ISO56005(IMSにおける知財マネジメント)の対訳版発行!

今年最後のイノベーション便りとなります。

2021年を締め括る形で、12月15日に、ISO56005(イノベーション・マネジメントー知的財産管理のためのツールおよび手法ー手引き)の日英対訳版が日本規格協会から発行されました。ISO56005はIMSの存在を前提とした知財マネジメントの国際規格であることが特徴です。
ISO56002で定義されたイノベーション活動の5つのステップ(機会の特定からソリューションの導入まで)ごとに必要な知財マネジメントの解説をしている世界初の国際規格になります。

提案国が中国であることもあり、規格開発が開始されるまでに紆余曲折があったのですが、最終的には各国の意見を取り入れながら規格が完成し、2020年に発行されました。56005には中国の考え方が非常に明確に打ち出されていますので、中国研究という観点からも一読をお勧めします。

この一年の活動を統括して、FAQの形で三つの論点をお伝えしたいと思います。

1. イノベーションって国際規格化できるのか?
2. イノベーションにマネジメントシステムが必要なのか?
3. サーキュラーエコノミーや脱炭素の動きとIMSは関連するのか?

1. イノベーションって規格化できるのか?:
一番多いのがこのご質問なのですが、56002はイノベーションの国際規格ではありません。既存の組織から新しい価値を生み出すためのイノベーション経営(イノベーション・マネジメントシステム)の国際規格です。

2. イノベーションにマネジメントシステムが必要なのか?:
イノベーションを、アイデアとかインベンション(発明や技術革新)と捉えていると「個人が頑張れば良いのではないか?」と考えてしまうでしょう。しかし、イノベーションは価値創造であり、機会の特定からソリューション(製品・サービス)の導入までの一連の活動であり対価を受け取らない限り価値提供は完了していないと定義すると、個人の頑張りを超えた活動となります。
その一連の活動を統括するためには、マネジメントシステムが必要であるという考え方が世界では主流になっており、両利きの経営の考え方なども含めた研究も進んでいます。10月に発表した「イノベーション1000人調査結果」を改めてお届けします。

3. サーキュラーエコノミーや脱炭素の動きとIMSは関連するのか?:
イノベーションには目的が必要となります。その観点で、サステナビリティを競争力強化の原動力として捉えているスウェーデンの考え方は参考になります。スウェーデンは、SDGs達成やイノベーション世界ランキングのトップ層ですが、その背景にはこのような考え方があることがわかりました。
そのスウェーデンとの協業を加速する意図を持って12月15日に開催されたハイブリッドセミナー「COP26後の産業構造の転換 – 競争力を高めるためのサーキュラーエコノミー」のレポートをお届けします。

最後までご高覧頂き、ありがとうございました。

激動の2021年から更なる激動の予感の2022年に向けて、皆様の年末年始がゆっくりとした休息と充電の素晴らしい時間になりますことを祈念しております。佳いお年をお迎えください。