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活動報告

2020/10/14開催「第2回 JINイノベーション・マネジメントシステムサミット」レポート(第5弾:欧州セッション-中編-)-企業、病院、地域で具体化する欧州のイノベーションマネジメントの今-

日米欧をつないで開催した「第2回 JINイノベーション・マネジメントシステムサミット(主催:一般社団法人Japan Innovation Network、以下JIN)」の欧州セッションの中編のレポートをお届けする。

登壇者は、スウェーデン国立研究所(RISE)イノベーション・マネジメントシステム(IMS) プロジェクト責任者でJINアドバイザーのマグナス・カールソン氏と、アンプリファイ プレジデント パートナーのグンナー・ストーフェルト氏、フィンランド エスポー市 エスポーマーケティングCEOのヤーナ・トゥオミ氏の3人。前編では、スウェーデンとフィンランドにおけるIMSの現状についてプレゼンテーションが行われた。

地域のエコシステム作りにイノベーション人材をどう提供するか

セッション中盤からは3者のプレゼンテーションを受けて、JINの西口がコーディネーターを務めながらIMSによるゲームチェンジについての議論を進めた。JIN Chairperson・理事の紺野登は、「北欧の両国は、イノベーションもIMSへの取り組みも日本より進んでいると感じた。知識経済を実践していることが特徴で、共通項はIMSにフォーカスし、イノベーションエコシステムにフォーカスしていること。だからお互いにマッチングできる。日本も大きく見ればその方向に向かっていると思う」と見る。

西口は、「エスポーのケースはとても興味深い。日本では東京は巨大都市だが、東京以外に活力源が少ない。地方創生、地域活性化のツールとして、イノベーションのエコシステムを作ることは有効だと感じた」と日本の現状に照らした分析をする。これに対してトゥオミ氏が、「エスポー市のアイデアは、すべての顧客、すべての企業が中核であり、私たちはエコシステムをオーケストレートする役割を果たすということ。顧客、企業の成功を私たちが支援するけれど、助けられなければ必要とされない。それだけに、常にマネジメントシステムとしてニーズを捉え、価値を作るサポートをし、顧客、企業と力を合わせてイノベーションを構築していこうというアプローチを採っている」と立ち位置とアプローチを説明した。

IMSのエコシステムが地域を活性化させる

また、IMSは地方や都市、国でも持ちうるのだろうかという疑問に対してカールソン氏は、「私はそれができると思っている。IMSは標準規格にも概要的なことが書かれているように、どのような生態系、エコシステム、組織でも適合できると考えている」と答えた。地方や地域でIMSを持つようになると、人材が必要になる。これについてカールソン氏は、「新しい人材が必要になる。実験しながら試行錯誤しながら、イノベーションプロフェッションという職業のあり方を模索しているところだ。現在は、アンプリファイとJINが協力してイノベーション・マネジメントプロフェッショナルをトレーニングするプログラムの作成を進めている」と重要性と現状の取り組みを語る。

新しいプログラムは、イノベーションの試みを体系的に進めていくスキルを身につけてもらうことを目的にしたもの。プロセス設計の方法や、イノベーションを呼び込むため効果的なイノベーション戦略を立案の仕方など、イノベーションが組織のパフォーマンスに貢献できるようにする人材の認証の準備をしている。カールソン氏は、「このプログラムはISO56000シリーズと調和したもので、2021年春には英語でプログラムを上梓する、その後に日本語でリリースする予定だ。トレーニングプログラムを修了するとディプロマの個人認証を授ける」と語る。

西口は「JINのプロフェッショナルスタッフは、このプログラムをすでに受けている。まず2021年に英語でプログラムを開始することで、グローバル企業や日本に拠点を置く多国籍企業などにも、プログラムに参加してもらえるだろう」と日本側の状況を説明した。

次回、欧州セッション後編に続く。