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活動報告

2021/10/28開催「第3回 JINイノベーション・マネジメントシステムサミット」開催レポート[第2弾]日本セッション2-企業の現場の実践者の声、未来への展望

2021年10月28日(木)開催
【開催レポート2】 第3回JINイノベーション・マネジメントシステムサミット

今年で第3回目の開催となるJINイノベーション・マネジメントシステムサミット。この日本セッション2では、セッション1で報告した「イノベーションに関するビジネスパーソン1000人調査」の結果を踏まえながら、実際に日本企業の現場ではどのようなことが起きているのか、イノベーション経営に挑戦している3社より事例を紹介していただき、その後パネルディスカッションを実施しました。

【日本セッション2】企業の現場の実践者の声、未来への展望
事例紹介1:内田 絵理子氏  株式会社ニチレイ
技術戦略企画部 IMS企画グループ アシスタントリーダー
事例紹介2:橘 弘之 氏 パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
イノベーションセンター 技術渉外・システム開発総括(兼)IMS・QMS支援部 部長
事例紹介3:岩本 浩祐 氏 株式会社IHI
技術開発本部 技術企画部 連携ラボグループ長

●事例紹介1:株式会社ニチレイ

持株会社と4つの事業会社から成り立つニチレイグループ。内田氏は持株会社の方でIMS構築を行っているそうです。2019年から続く一連の取り組みについて、「最初はIMS夜明け前型やIMS不在個人奮闘型でしたが、現在はIMS導入初期型になってきました。具体的には、当初は特定の人だけがイノベーション活動の挑戦者として、既存事業のプロセスを踏襲しながら、担当者個人に依存しながら進められていました。しかし現在は、専任部署に加え全社員がイノベーション活動に参加できるようになり、IMSに基づく事業化検討プロセスを用いています。これらの活動を支援するために、イノベーション教育プログラムを全社員に提供したり、支援体制も整えているところです。」と内田氏は言います。そこに至るまでには、気づく、小さく実践する、広げるという3つのステップで取り組んできたとのこと。

「今振り返って思うIMS構築のポイントですが、1つ目は外部視点を入れて客観的に把握したこと。2つ目は問題意識だけではなく、どうしたいかという自分たちの強い意志を持って行動していくこと。3つ目は経営層や技術部門以外の人たちもしっかり巻き込んでIMSを作るための共感を得ることです。」と内田氏はまとめました。

●事例紹介2:パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社

「2015年にこれから何を開発していくかを悩むタイミングがあり、技術者を前線化し、お客様と直接向き合う体制を構築する必要があるという結論に至りました。そこでJINの協力も得てイノベーションセンターを立ち上げたのが、我々の旅のスタートになります。そこでは技術者寄りではなくお客様視点で社会課題をどう解決できるか、試行錯誤を行いながら新規事業を創出する活動を推進してきました。」と橘氏は言います。

「約6年半の試行錯誤の中で、共創から実証、開発までを一気通貫で推進する仕組みが整ってきました。数々の失敗事例もありますが、その中から成功事例も生まれました。」とのことで、全国の空港で使われている顔認証システムや、オフィス入退ソリューション、さらにはこれらの技術をパートナー企業に使っていただくための顔認証APIサービスの展開などについてご紹介いただきました。

一方で、現在の課題として「開発業務や品質確認、N倍化などの横展開の活動が増えてくると、新しいテーマを生み出す活動が弱体化することがある」とし、0から1のインキュベーションを事業部とタッグを組んで進めていこうとしているそうです。

最後に「ISO56002という国際的な標準規格があると、共通言語として社内でもいろんな人とコミュニケーションができるようになりました。」とISO56002の必要性にも触れました。

●事例紹介3:株式会社IHI

世界中にイノベーション拠点を置くIHIですが、今回は2019年5月に開設された横浜のイノベーション拠点「i-BASE」を中心にお話しいただきました。

元々ここには「つなぐラボ」というお客様との交流の場が設けられていたそうです。この施設には、お客様から頂いた情報を事業部門や研究所につなぐという役割があったのですが、その後のフォローを行うのが難しいという課題がありました。そこで、事業化に向けた具体的な仮説検証をするイノベーション拠点としてi-BASEが誕生したとのことです。

「一連の活動の中から、情報共有からアイディア発想、事業化に向けた取り組みについてご紹介します。まずひとつ目は『変化の兆しを捉えること』が重要です。社会の急激な変化の中で新しい価値を見出すために、既存事業に縛られすぎず、フラットに社会を観察して変化の兆しを予測し、洞察することを心がけています。また、2040、50年に向けた開発ロードマップを描くときに、ある程度の不確実性は入れながら、市場や需要について、定量的な評価を入れていくことも重要です。」と岩本氏は言います。

他にも、ボトムアップだけでなくトップダウンの新規事業提案検証の重要性や、多様なメンバーがバーチャルなチームを組んでイノベーション活動に取り組む「ブースPJ」のご紹介、イノベーション活動を会社の内外に発信する重要性についてもお話しいただきました。

最後にまとめとして仮説検証の繰り返しの重要性をお話しいただき、「デザイン思考や未来洞察、サービスデザイン、アート思考、ファシリテーションなどを外部から学び、IHI流にアレンジして、イノベーションの標準の型を作ろうとしています。」と述べた上で、「これらの仮説検証だけでは超えられない壁にぶつかった際は、人事評価委精度の議論が必要だと思います。」と付け加えました。

●パネルディスカッション
3社のプレゼンテーションの後は、JINの西口、紺野が加わり、パネルディスカッションを行いました。

その中で西口はIMSコンパスの図を示しながら、「3社の共通点として、イノベーションの意図から価値創造までを試行錯誤しながらなんとか繋いで行こうという強い意志を感じた」と述べました。

その上で、パナソニックの橘氏に対して、確実性が必要なQMS (Quality Management System)と不確実性を前提としたIMSをどのように繋げて考えているかを質問しました。橘氏は、「実際のフィールドで実証をする前に、開発の段階でどこまで作り込むか折り合いをつけるのが難しい」と述べ、それに対して「時間をかけて絶対安全なものを出すのは今後も変わらないが、コンセプトに関するもの、お客様の課題仮説に近いものはできるだけ簡単に出していかなければならない。」とIHIの岩本氏が続けました。
その流れで、「段階に応じて柔軟に取り組む必要があると当社も考えていた」とニチレイの内田氏も言います。西口は「段階による使い分けはキーワード」と述べた上で、「ケースバイケースでどう仕組化するかが決まっていくと内部交渉など社内にエネルギーを使うのではなく、外向きに時間を使えるようになる。」とまとめました。

■本丸の近くでイノベーション活動を行う
イノベーション活動は出島でやっているのか、それとも本丸の近くでやっているのかという西口の質問に対しては、本丸の近くでイノベーション活動を行なっていると答えました。それに対し、「ISO56002が画期的なのは、イノベーションというのは価値を創造することなので、発明は一部だけで全部じゃないというところ。IMSコンパスの真ん中の前半の部分だけでなく、後半のソリューションの開発と導入をやってようやく価値になり、その全部がイノベーション活動という定義。サイロ、出島であればあるほどイノベーションから遠ざかってしまう。なので、本丸の近くの方がいい。」と西口は言います。

最後に紺野が「イノベーションは出島でやっておけばいいという時代は過ぎ去り、全員がある種の危機感の中、本業レベルでイノベーションを考えざるを得ない時代になりましたが、この3社は実際に進んでいる。これからは目的をどうするかを考え、目的とIMSをどのように掛け算するかが大事です。」とまとめて日本セッション2は終了しました。

【セッション2を振り返って】
このパートでは、IMSの構築に取り組む3社の事例を通じて、具体的な試行錯誤のあり方や、そこから見えてきた各社の考察に触れることが出来ました。これからIMS構築に取り組む企業にとっては、何物にも変えがたい情報が盛りだくさんだったのではないでしょうか。また、各社のメッセージに共通していたことのひとつに、IMSという国際標準を共通言語とすることによる、プロジェクトの進めやすさがありました。各企業でイノベーションに取り組むみなさまには、ぜひIMSについてご興味を持っていただければと思います。

IMSの構築の旅を始めてみたい方はこちら

第3回のレポートでは、「海外セッション 欧州で進むIMSの普及とグリーンイノベーションの潮流」についてお届けします。