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[2021/4/23号] イノベーション・マネジメントシステムの普及が始まった!
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の考え方が、企業経営の中で、確実に広がりつつあります。JINは、2015年からJISC(日本産業標準調査会)の下、ISO56000シリーズを開発するテクニカルコミッティ(TC)279の国内審議団体を務め、規格開発、国際交渉、国内審議委員会の運営を行ってきました。なお、JINの今後の活動内容について、プレスリリースを出しましたので、ご高覧賜れば幸いです。
日本規格協会が販売するISO規格(日英対訳版)の中では、2020年12月から2021年3月の4ヶ月連続でISO56002が常に1位か2位のベストセラーとなっています。また、同協会からは、ISO56000(基本及び用語)、ISO56003(イノベーション・パートナーシップのためのツール及び方法)の英和対訳版が最近出版され、JINは内容の監修も行いました。通常のISO用語ではなくイノベーションの文脈で日本語訳を注意深く選んでおりますので、ISO9001とは使われている日本語が違うケースもあります。
最近では、組織の名前に「IMS推進」や「IMS企画」という名前をつける会社が増え始めています。例えば、冷凍食品で皆さんにも馴染みの深いニチレイさんは、技術戦略企画部の中に IMS企画グループを設置して、社内でIMSの推進を着実に続けています。同じ動きは他社でも始まっています。
さらに、この4月に知財功労賞で経済産業大臣表彰「オープンイノベーション推進企業」を受賞されたJR西日本さんは、受賞社長コメントで「当社ではJR西日本技術ビジョンの実現を目指し、オープンイノベーションを推進し、社外の皆さまとの共創により新たな価値創出に取り組んで参りました。イノベーション・マネジメントシステムにより磨きをかけ、変化対応力を高め、復興・変革を進め、『人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会』の実現に向けて加速して参りたいと存じます」と、社長がIMSに言及されています。
2019年7月にISO56002が発行された背景には、既存組織からイノベーションを興す国際的な競争が激化していることがあります。スタートアップ向けの規格ではなく、あくまでも、既存組織からのイノベーションに焦点を当てているのが特徴なのですが、その背景には、脱炭素の動きの加速をはじめとして世界情勢が大きく変化していることがあります。富士フイルムやコダックが経験したような「本業蒸発」のリスクは常にあると言えるでしょう。
その中で、本業を守ると言いながら、イノベーション活動を後回しにする。それが最も危険な戦略判断ミスと言えます。「本業の最大の防御は、イノベーションを興すこと」なのです。
そのような中、先般募集を開始したIMSAPスタジオ(第3期)は好評のうちに受付を締め切らせて頂きました。ありがとうございました。次回は、10月に開始の予定です。
なお、IMS先進国であるスウェーデンの知恵を学ぶ、スウェーデンスタジオ(スウェーデン方式のイノベーション経営プロ養成講座:6月開始)は、まだ空きがあります。講義部分は全て英文字幕付き動画によって行われ、2週間おきにスウェーデンと日本を繋いだライブのワークショップで理解を深めていきます。ぜひ、ご参加をご検討ください。